


針生:.会社の方向性は変わらないですが、手法が変わったように感じています。
高度成長期から「競うこと」を良いこととして仕事をされてきた方が多いと思います。
会社内で人より早く昇進したい、人よりたくさん稼げるようになりたい、誰かより上に行きたいなど、思いの強い、弱いの違いはあっても、私を含め、少なからず同じような考えを持っていたと思います。しかし、震災後は友人や家族の大切さを考えるようになり、助け合い、相談しあえる友人がいることが喜びであり、共に歩めることが重要だと考える人が増え、競争ではなく、協調して仕事を進めることの大事さを改めて認識したように思います。
被災地でNPOの活動をしている友人は、いろいろな経験を通して、人として一番基本である、「生きている意味」を考えるようになったとのこと。友人の話を聞きながら、私自身も、改めて命があることに感謝し、自分が周りの方たちに還元できる方法を考えていきたいという思いが強くなりました。
会社としても同じように、自社の売り上げも大事ですが、社会から利益をいただいているのですから、どのような形で社会貢献できるのかを考えることが、今まで以上に重要だと感じるようになりました。
震災以前から「すがすがしい経営」をしたい。といつも言ってきたのですが、震災時に、いろいろな話を耳にして、公明正大でありたいと思うと同時に、スタッフの一人一人が「人として当然のことができる人」であってほしいと願っています。
針生:社内では、昨期より主ブランドである「レッセ・パッセ」の、若い企画スタッフたちが、会社の方向性まで考えて仕事をしてくれるように成長してきました。
「デビュードフィオレ バイ レッセ・パッセ」は、各地の店舗でも好評で、商品も現在より少しグレードアップを予定しており、両ブランドとも成長の年になると考えています。
来期の目標というと、売上目標がいくらで、経常利益が…という話になると思いますが
数字が目的なのではなく、どういう方向性でどうしたいという目標があり、その結果が数字に表れれば嬉しいと思っています。
また、中国出店も視野に入れており、中国での出店の考え方は日本と違いますよ・・・というお話をよく聞かせていただくのですが、売上×店舗数=利益という掛け算で、出店予定を立てるのでなく、ブランドイメージを大事にしつつ、1店舗づつ積み上げるように、人、商品、お店を大事にして、レッセ・パッセらしい事業展開を模索していきたいと考えています。また、海外展開については、海外で販売して日本が潤うという考え方ではなく、利益を上げさせていただいた地域にも貢献したいと考えています。
針生:売上や利益などの数字目標を高く掲げたり、上場を目指す!というような具体的な方針が一般的であり、そういう目標も重要ですが、金額的に大きな会社にしたいということよりも、現在働いてくださっている、中堅スタッフの多くの子供たちが10歳前後なので、10年経って成人になる頃、お父さん、お母さんの会社ってどう?と、聞かれたときに、自慢できる会社になっていたいと思います。
それぞれのスタッフがお互いのことを尊重し、助け合いながら、お客様に喜ばれる洋服を作り続けられれば、絶対10年後、売上も伸びているし、素晴らしい会社になっていると信じています。
私が考える自慢できる会社とは、企業規模だけで決まるものでなく、お父さん、お母さんでいながら、充実した仕事が出来るような会社だと考えており、家庭を犠牲にすることなく、公私のバランスが取れた生活のできる会社を理想だと思っています。